クロケット&ジョーンズ(Crockett&Jones)が誇るイギリス製ローファーの名作「ボストン(BOSTON)」の魅力
140年以上に及ぶクロケット&ジョーンズの歴史で「ボストン」は、最も有名なローファーと言っても過言ではない傑作モデルでしょう。厳選された高級素材を使用していることに加え、ハンドステッチのモカシンによる仕上げなど、他のローファーとはひと味もふた味も異なる存在感を放ちます。時代に左右されないトラッドなシルエットも秀逸です。今回は、クロケット&ジョーンズの名作「ボストン」の魅力をご紹介します。
非常に多くの木型を保有することで知られる英国の代表的シューズブランド「クロケット&ジョーンズ」
クロケット&ジョーンズは、英国を代表する革靴ブランドです。英国靴生産の中心地であるノーサンプトンで、1879年に義理の兄弟であるチャールズ・ジョーンズ氏とジェームズ・クロケット氏によって創業されました。OEM生産を数多く手掛け様々な一流ブランドに向けて高品質な靴を納入しており、かつては知る人ぞ知るメーカーでした。世界でも有数の豊富な木型を保有するメーカーと知られており、そのため多彩なバリエーションの靴を生産することを可能としています。そして近年はシューズブランドとしてオリジナルの革靴を製造する一方でセレクトショップや百貨店などの別注モデルの生産にも力を入れています。色々なオーダーに対応する柔軟性、それを可能とする生産能力の高さがクロケット&ジョーンズならではの強みでしょう。
ローファー「ボストン」はクロケット&ジョーンズのアイコン的モデル
「ボストン」は、クロケット&ジョーンズが手がける名品と呼ばれるローファーです。クラシックなラウンドトゥのローファーは、ミッドセンチュリーのエレガンスを体現しています。1950 年代のプレッピースタイルや1960年代のハリウッド映画スターを思い起こさせる真のクラシックスタイルです。
高級な皮革を使いこなすクロケット&ジョーンズ「ボストン」のアッパー素材
ボストンは人気モデルであるがゆえ、様々な素材バリエーションが作られています。キメが細かく滑らかで美しいカーフレザーの他、カントリーテイスト香るグレインレザー(型押し素材)やソフトな風合いを楽しめるスエード素材、希少性の高いシェルコードバン。そして最近では撥水素材のモデルも登場しています。
これらの素材は新品時でも品質の高さは伺えますが、真価を発揮するのはエイジングが進んだ時でしょう。履きこめば履きこむほどに美しく、また味わい深く成長していく様を堪能できるのは、高級素材をふんだんに使った靴の特権なのです。
「エイジング(経年変化)を楽しめる上質な素材~靴磨きの方法は~」
実は上質な素材ほど艶が出やすく、お手入れが簡単なのです。革の質にかかわらず、メンテナンスは非常に重要です。適切なお手入れをして革靴を長持ちさせましょう。
《シューケア方法①ブラッシングで埃を落とします》
まずは、柔らかい馬毛ブラシを使い、革表面の埃や汚れを落とします。着用後にブラッシングをして1日頑張った靴を労ってあげましょう。
《 シューケア方法 ②クリーニングで汚れや古いクリームを落とします》
革用のクリーナーで汚れや古いクリームを落とします。革表面に古いクリームが積み重なると、ひび割れや革切れの原因になります。革は摩擦に弱いので優しくクリーニングしてください。
《 シューケア方法 ③クリームで栄養補給》
少量の乳化性クリームを布や専用ブラシを使い、薄く塗り伸ばします。クリームの厚塗りは、革の乾燥に繋がるため、少量を塗布するのがポイント。キメの細かい上質な素材ほど、少量のクリームで艶やかに光ります。
《 シューケア方法 ④ブラッシングでクリームを馴染ませます》
コシのある豚毛のブラシで先ほど塗ったクリームをしっかり革に馴染ませます。力を入れても革に傷は付かないのでしっかりブラッシングしてください。
《 シューケア方法 ⑤最後は布で乾拭き!!》
最後は布で乾拭きをして革表面に残ったクリームを拭き取りつつ艶を出します。目が粗いタオルなどよりも、乾拭き専用のグローブや目の細かい布を使用すると仕上がりがきれいです。
《 シューケア方法 ⑥さらに・・・》
さらに拘るのであれば、ポリッシュを使い鏡面仕上げ(ハイシャイン)で光沢を出したり 保革剤を使いレザーソールに栄養補給をしてください。
週に1~2回の着用であれば、月1回程度のメンテナンスがおすすめです。普段はブラッシングで表面に付いた埃や汚れを落としましょう。
「履き下ろす前のプレメンテも長持ちの秘訣」
特にインポートシューズは、プレメンテで履き下ろす前に栄養補給をすることが大切です。国産のモデルに比べ、インポートシューズは、配送に時間がかかります。そのため、店頭に並び、お客さまのお手元に届くまでに長い期間を要します。飛行機便、船便でも輸入環境が異なります。履き下ろす時点で栄養分が抜けている可能性がありますのでプレメンテで栄養補給することが大切なのです。
クロケット&ジョーンズ「ボストン」は異なるラストで2種類のモデルを展開
まずラスト314を使った英国で人気の「ボストン」。ラスト314はローファー用のラストで側面の立ち上がり方とラウンドトゥが特徴です。1993年に誕生して以来、数々のローファーに使用され好評を博してきました。甲回りと踵のボリュームがある欧米人向けのラストのため、ゆったりとした履き心地も特徴です。
「履き心地が進化。ラスト376を使用したボストン2の誕生」
ラスト376はラスト314の完成されたつま先のシルエットを引き継ぎながら踵のフィット感を向上させるべく2015年に登場しました。骨格の形状などにより、踵の浮きが気になる日本人には相性の良いラストです。
小ぶりで丸みのあるヒールカップ。踵を包み込むように抑えてくれます。土踏まずのシェイプを効かせ、甲回りの収まりが良くなる事で歩行時に足が前にズレ込む事を抑えます。甲回りが緩いと足が前にズレ込み踵部分に隙間ができるため、踵の浮きが発生します。
トレーディングポストでは、この日本人に合わせやすいラスト376の「ボストン 2」を取り扱っています。ラスト376の登場により、日本人好みのルックスに優れたフィット感が兼ね備わった「ボストン 2」の大ヒットに繋がったのです。
「そんなボストン 2(BOSTON2)の気になるサイズ感は?」
元々欧米人と比べ踵が小さ目な日本人にとって、ラスト314の「ボストン」は、フィット感を作るためにサイズを下げて指先がきつくなる事がありました。しかしその改良版ラスト376を使用した「ボストン 2」であれば無理にサイズを下げずとも快適に履くことができます。
例えばラスト375を使用した人気タッセルローファーの「キャベンディッシュ 3」と比較してみましょう。ラスト375と比べ、ラスト376の方が若干つま先が短くなります。足型にもよりますが、全体的に特徴が近いため、同じサイズで履かれる方が多いです。さらにクロケット&ジョーンズの昔ながらの標準的(Eウィズ)なモデルと比較すると、レングスはあまり変わらないため、同サイズで甲から踵にかけてのフィット感が増す感覚です。
手作業の技が随所に見られるクロケット&ジョーンズ「ボストン」の製造工程
熟練職人による手作業の技が使われているのも、クロケット&ジョーンズならでは。最高の品質を維持しながら素材の無駄を最小限に抑えるため、知識と高度なスキルを駆使するクリッキング(革の裁断)。味わい深いハンドステッチによるモカ縫いや細かな手仕上げ、丁寧な磨きなど随所に職人の技を垣間見ることができます。
「クロケット&ジョーンズ「ボストン」は修理可能なグッドイヤーウェルト製法」
多くの工程を重ねて作られるクロケット&ジョーンズのグッドイヤーウェルト製法。ソールの張り替えなど、修理をすることで長年にわたり履き続けられます。さらに履くたびに中物のコルクが沈み、足にどんどん馴染んでいきます。グッドイヤーウェルト製法特有の履いたときに感じる重みは、中にコルクを敷き詰めたしっかりとした作りによるもの。しかし最初は重く感じるかもしれない厚みのあるソールはクッション性に優れ、実際に長時間歩くとその履き心地の良さを実感できるのです。
そして「ボストン」は同じ グッドイヤーウェルト製法で作られたアメリカのローファーと比べコバの張り出しが控えめで、一見似たようなスタイリングながらも英国ならではの雰囲気を醸し出しています。
安定した歩行を実現するクロケット&ジョーンズ「ボストン」のトゥスプリング
ボールジョイントからつま先にかけてのトゥスプリングと呼ばれるソールの反りもしっかりと設計されています。トゥスプリングは高すぎれば美しいシルエットを崩すこともあり、低すぎれば歩行性を損なうものですが、クロケット&ジョーンズは絶妙のバランスで見た目と歩きやすさを両立しています。
好みや用途で選べるクロケット&ジョーンズ「ボストン」のソール
トレーディングポストでは、色々なソールのボストン2を取り扱いしています。底材が変われば履き心地や雰囲気も変わってくるので、ソールのチョイスも靴選びの大きなポイントとなります。
「高級紳士革靴の基本・高級感漂うレザーソール」
まずはクラシックシューズの基本であるレザーソール。クロケット&ジョーンズのレザーソールは最高品質の革からカットされ、耐久性を高めるための鞣しが施されています。
ソールを見るとステッチは溝に縫い付けられ靴の裏側から糸が見えるオーソドックスなオープンチャネル仕上げです。そして普段あまり見えない部分ながら、職人が手作業で染色しワックスで磨き上げる丁寧な仕上げに拘りを感じさせます。
「耐久性に優れ、雨の日でも使いやすいラバーソール」
そしてもう一つはシティソールと呼ばれるラバーソールです。エレガントな靴やローファー等に適したソールとして、クロケット&ジョーンズがハルボロラバー社に依頼し作ったオリジナルのソールです。シティソールは、その名の通りタウンユースでその威力を遺憾なく発揮します。ちなみにハルボロラバー社といえばダイナイトソールで有名なメーカーです。1894年以来上質なラバーソールを一流靴メーカー等に供給し続ける英国老舗メーカーなのです。
シティソールは、柔らかく馴染みの良い履き心地とグリップ力が特徴です。そのグリップ力は、突起部分に切られた溝に秘密があります。雨の日に滑るのは、ソールと地面の間にある“水”が原因です。接地する瞬間に水に乗ってしまい滑っているのです。そのため、溝を切っているソールは、水捌けが良いので滑りづらくなります。船の甲板で使用する事がルーツのデッキシューズのソール(ウェッジソール)も溝が切られているため滑りづらいのです。
「クロケット&ジョーンズ純正修理パーツ」
トレーディングポストの店舗では、クロケット&ジョーンズ純正パーツを使用した靴修理を受け付けています。レザーソールからシティソールやダイナイトソールへの交換も可能です。ぜひアフターケアも店舗へご相談ください。
様々なコーディネートに対応する定番ローファーならではの魅力
「ボストン」のようなローファーがあればドレスアップもドレスダウンも実に簡単です。クセのないベーシックなシルエットが持ち味の定番シューズはジーンズからキレイにプレスされたフランネルまで、色々なアイテムと組み合わせが可能なのです。また紐靴と比べ足の露出が多いローファーは、素足っぽく履いたりカラーソックスを合わせたりすることでバリエーション豊かな楽しみ方ができる靴でもあります。トラッドなスタイルから現代のカジュアルコーデにも合わせられる汎用性が魅力です。
クロケット&ジョーンズの進化の結晶であるボストン2をぜひご堪能ください。