1900年代初頭のモデルが現代に蘇る。クロケット&ジョーンズ アーカイブコレクション

140年の歴史を誇るイギリスを代表する革靴ブランド~クロケット&ジョーンズ~

クロケット&ジョーンズは、英国を代表する革靴ブランドです。英国靴生産の中心地であるノーサンプトンで、1879年に義理の兄弟であるチャールズ・ジョーンズ氏とジェームズ・クロケット氏によって創業されました。OEM生産を数多く手掛け様々な一流ブランドに向けて高品質な靴を納入しており、かつては知る人ぞ知るメーカーでした。世界でも有数の豊富な木型を保有するメーカーと知られており、そのため多彩なバリエーションの靴を生産することを可能としています。そして近年はシューズブランドとしてオリジナルの革靴を製造する一方でセレクトショップや百貨店などの別注モデルの生産にも力を入れています。色々なオーダーに対応する柔軟性、それを可能とする生産能力の高さがクロケット&ジョーンズならではの強みでしょう。

幻のクロケット&ジョーンズ アーカイブコレクション

毎回、海外出張で訪れる度に楽しみにしているのがノーサンプトンの工場にあるショールームやジャーミンストリート、パリの直営店舗に設置されたガラスケースの中を覗くことです。そのガラスケースの中には、クロケット&ジョーンズで1900年~1950年に生産されていた年代物のシューズが展示されています。博物館に飾られてもおかしくない、歴史的価値があるアンティークシューズを通し、クロケット&ジョーンズの歴史に触れることを、いつも楽しみにしています。飾られているアンティークシューズは、今では見ることのできない素材や現代の革靴にはないディティールが詰め込まれています。中には展覧会のために生産され、受賞の栄誉に輝いた靴もあるそうです。毎回、訪れるたびに感銘を受け、海外出張時の慣例行事になっています。

クロケット&ジョーンズ アーカイブコレクションの始まり。そのこだわりは?

革靴の企画や発注に携わっている自分にとって、アーカイブコレクションの展開は、何時か実現させたい夢。それは、アーカイブコレクションを通し、クロケット&ジョーンズ社の140年以上の歴史、過去の素晴らしい靴を日本の革靴好きの方々にお届けしたい一心でした。クロケット&ジョーンズに熱烈なオファーを試みましたがジョナサン・ジョーンズ社長からは「過去のモデルを作るよりも、新しいモデルを作ろう」とのリアクション。しかし夢を諦めることができず、何度も粘り強く交渉を続けました。その熱意が通じたのか、クロケット&ジョーンズ社の本国会議で、アーカイブコレクションの企画を話題に上げて貰ったところ、英国の直営店のスタッフから良いリアクションが得られたようです。さらにジョナサン・ジョーンズ社長からの提案で「それでは最上級のハンドグレードコレクションで生産しよう!」とアイディアもいただき、時代を超えてアーカイブコレクションがアップグレードされ現代に蘇ることになったのです。

*ハンドグレードコレクションは、アッパーなどの素材に最高品質のレザーを使用していることはもちろん、アウトソールやインソールの造りもビスポークシューズのような意匠を実現した上級ラインです。さらに、手作業による仕上げを随所に施しているため、手の温もりを感じます。

ただ復刻しても面白くない。どうせなら当時を超える物を作りたい

ジョナサン・ジョーンズ社長からの進言もあり、クロケット&ジョーンズの上級ラインであるハンドグレードコレクションのスペックでアーカイブコレクションを生産することになりました。1990年代後半に生産が開始されたハンドグレードコレクション。当時の雰囲気に当時にはないスペックが融合した、究極のアーカイブコレクションの誕生です。

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ビンテージではなく、アンティーク。現代の革靴にはないデザインやディティール

デザインは、以前から目を付けていた、他で見ることのないマニアックなデザインを揃えました。古い機材でしか作れないディティールもあるため、縫製などは、当時の靴を再現できない部分もあります。しかし、デザインのパターンや配色、細かいディティールなどは、当時生産していたモデルを忠実に再現するよう依頼しました。ファッションスタイルや革靴が進化する過程で使用されなくなったデザインやディティールを現在に蘇らせます。

1950年代のロゴを刻印したインソール

クロケット&ジョーンズのハンドグレードコレクションでは、すでに1900年代の初期のロゴが採用されています。そのままだと面白味に欠けるので、1950年代に使われていたロゴを採用させていただきました。

『100年前に思いを馳せるキャップトゥ(ストレートチップ)、レッドヒル(REDHILL)

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シンプルなキャップトゥと思いきや、当時に思いを馳せる細かな意匠が隠されています。キャップトゥには、珍しいギンピングやベベルドエッジソールなど、現代のシューズには見られない特別なキャップトゥです。当時の英国紳士は、イブニングコートにレッドヒルの様なキャップトゥを履いてディナーを楽しんでいたのでしょうか…。

【こだわりの意匠~ギンピング~】

キャップ部分やレイスステイからサイドにかかる切り替えしに施されたギンピング(革端をギザギザにカットする意匠)。現代のキャップトゥには見られない意匠です。さらにギンピングの切込みも大きくシンプルなデザイン故に目を惹きます。目立ちませんがタン部分もギンピング仕様になっているこだわりです。履き口周りの切り替えしも現代のシューズにはあまり見かけないデザインになっています。

【こだわりの意匠~ベベルドエッジソール~】

アウトソール側面は、現代のシューズで見掛けることがほとんどないベベルドエッジソール仕立て。日本でヤハズ仕上げと呼ばれ、ソール側面を山型の尖った形状にする意匠です。現在は、ビスポークシューズなどのオーダー靴のオプションでしか中々お目にかかれません。非常に手間のかかる仕上げですが、立体的な側面は、現代シューズにはない特別感を生み出します。当時のメーカーは何を思いベベルドエッジソールを考え付いたのでしょうか?

【こだわりの意匠~クラシカルな6つハト目(アイレット)~】

現在のデザインでは最もスタンダードとされているハト目(アイレット)は5つですが、当時は6つが主流とされていました。英国靴の伝統を貫きつつエレガントさを持ち合わせたキャップトゥに仕上がっています。

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『時代を超えて現在に引き継がれるカントリーシューズ、クロイドン(CROYDON)

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サイドにデザインされたメダリオンが特徴のフルブローグ(ウィングチップ)、”クロイドン”。独創性のある意匠が随所に施されていますが、あくまで佇まいはクラシカル。この絶妙な按配が、靴好きの琴線を刺激するのではないでしょうか。クラシックカントリーテイスト溢れるデザインを激動の時代を生きた人々はどの様に履いていたのでしょう?

【こだわりの意匠~全体の施された穴飾りやギンピング~】

クロイドンを象徴する意匠は、その存在感のある大振りなパーフォレーション(穴飾り)と大胆なギンピング(革端をギザギザにカットする意匠)。さらにサイドに施されたメダリオンなど、現代のカントリーシューズの原型とも呼べるデザインではないでしょうか?クロイドンと比べると現代のカントリーシューズが落ち着いて見えます。

【こだわりの意匠~ハト目と平紐~】

アンティークシューズに良く見られる表に施されたハト目と平紐も当時の思いを馳せるポイントです。現在のカントリーシューズの主流はボリュームのあるシルエット。エレガントなシルエットのクロイドンにカントリーの温かみが生まれるのも表ハト目と太め目の平紐が付いているからです。エレガントとカントリーと相反するバランスを持ち合わせる特別感も魅力です。

【こだわりの意匠~ノーバーニッシュフィニッシュ~】

通常クロケット&ジョーンズの靴は、バーニッシュ加工を施し、長年愛用した様なアンティークな風合いを作り出します。当時は、アンティークと言う考えはなかったでしょうから1900年代の雰囲気を出すためにバーニッシュ仕上げを施さず当時の雰囲気を再現しています。アンティークに見せる様な濃淡を付ける加工は行っていませんが、仕上げは行っていますのでご安心を。

【こだわりの意匠~ハーフミッドソール~】

底の仕上げは、ハーフミッドソール仕様になっていますがここにも秘密が隠されています。ハーフミッドソールのウェスト部分はエッジの処理を行わない「スクエアエッジ」のモデルが一般的ですが、クロイドンは、「ラウンドエッジ」になっておりエッジを滑らかに削り面取りをしてあります。そのため、カントリーテイストのボリューム感を持ちながらエレガントな印象になるのです。

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『進化と共に消えていった幻のデザイン、ソントン(THORNTON)』

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ブラントウィングブローグオックスフォード、”ソントン”。U字型の独特なカッティングに大ぶりなパーフォレーション(穴飾り)とギンピング(革端をギザギザにカットする意匠)には、現代シューズにはない特別感が溢れています。現代では斬新に捉えられる意匠をクラシカルにまとめ上げた一足となります。ドレススタイルの変化と共にシンプルなデザインが主流となり、その姿を消したブラントウィングブローグオックスフォードが現代に蘇ります。

【こだわりの意匠~ブラントウィングブローグオックスフォード~】

U字型のウィングチップを”ブラントウィングブローグオックスフォード”と呼び、クロケット&ジョーンズでは、1900年代初頭に作られたモデルです。過去トレーディングポストでもU字型のデザインのシューズは扱ったことがありますが、ここまでクラシカルで時代を感じるデザインは初めての展開です。

【こだわりの意匠~大ぶりなパーフォレーション(穴飾り)~】

大胆なパーフォレーションが重厚な雰囲気を醸しており、クラシカルな印象の中にも男らしさも感じます。フルブローグのクロイドン同様に大振りなパーフォレーションなど、主張の強い意匠のため、どのデザインも非常に個性的です。

【こだわりの意匠~ソールカラー~】

当時のシューズを基にしてアッパーカラーはブラックながらソールの側面とアウトソールのカラーをダークブラウンにしています。ドレスシューズには、珍しい組み合わせですが、当時は、どのような思いを込めてこの仕様にしたのか・・・。一つ一つの意匠から1900年代を思い起こすのもアーカイブコレクションの楽しみの一つです。

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【4月1日から販売スタート!!】

クロケット&ジョーンズ社の歴史とトレーディングポストの想いの詰まったクロケット&ジョーンズ アーカイブコレクションは、2023年4月1日(土)よりトレーディングポストの実店舗、オンラインショップで発売開始となります。ぜひアーカイブコレクションを通し1900年代当時の空気を感じてください。

*店舗により、サイズ状況等が異なりますので詳しくは店舗へお問い合わせください。

https://youtu.be/5jOiwAb-ZqQ