DOVER Club No.9

DOVER Club
英国エドワードグリーン社のアイコンモデルのひとつである
Uチップ❝DOVER❞をこよなく愛する人たちの入退会自由なクラブ。

DOVERは、ラストやスペックを嬉々として語りたくなる靴。
My DOVERストーリーの共有から、
自分たちが享受している価値を伝え、
クラブ員の輪を広げていくことを目的とする。
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私がこの靴、そしてエドワードグリーンに初めて出会ったのは、1996〜97年頃のことでした。

 

実は、その時まで私自身はエドワードグリーンというブランドを知りませんでした。
「どんな靴なんだろう」といくつか手にした中のひとつが、今回ご紹介するドーバーだったのです。

 

当時の私は自身の足が小さいこともあり、「重厚なグッドイヤーウェルトの靴は自分の足には合わないだろう」と思い込んでいました。

 

しかし、ドーバーに足を入れてみて、その先入観は見事に裏切られます。
初めて経験したあの厚みのあるダブルソールは、履き込んでいくうちに驚くほどしなやかに、柔らかくなっていきました。
重厚な見た目としなやかな履き心地のギャップですね。

 

そして何より私の心を強くつかんだのが、かかとの作りでした。
しっかりと小さく絞り込まれ、トップライン(履き口)が内側に美しく入っている。
今までに味わったことのない、かかとにピタッとフィットして「ガッチリとつかまれるような感覚」にすっかり魅了されてしまったのです。

 

結果的に、私はこの時ドーバーだけでなく、「88」ラストのチェルシーも一緒に入手してしまうほどエドワードグリーンにハマり込んでいきました。

 

そこから、私のエドワードグリーン遍歴は少しばかりマニアックな方向へ進みます。

 

あまり人が履いていないものを履いてみたいという心理が働き、スエード素材でブラインドブローグをオーダーしてみたり。
王道から少し外れて、どうしても「ひねり」を入れたくなってしまった時期があったんですね。

 

でも、そうやって色々と遠回りをして試した結果、最終的にたどり着いたのは「ひねる必要なんてないんだ」というシンプルな答えでした。
完成された王道の既製靴を、ただしっかりと履いていく。結局はそこに戻ってきてしまうんです。

 

最初のドーバーとの出会いから数年が経った、2002〜2003年頃のこと。
前の職場を辞めるタイミングで入手したのが、「606」ラストのドーバーです。

 

スクエアトウが好きな私は、定番の「202」ラストではなく、スクエアな「606」のブラックを選びました。

 

こればかりは完全に好みの問題です。自分の場合、靴のシルエットにはどこかにシャープさを求めてしまう。
とは言っても「王道」は気になりますから、3足目のドーバーは「202」ラストを選ぶかもしれませんね。

 

これまで数え切れないほどの靴に足を通してきましたが、いつの間にか手放してしまう靴と、ずっと手元に残り続ける靴があります。

 

それは履き心地が良いとか、革質やスタイリングが優れているといった理由だけではありません。
残る靴には決まって「それを買った時の背景」があることに気がつきました。

 

例えば、結婚した時に「なんか靴が欲しいな」と思って買った靴。子供が生まれたタイミングで手に入れた靴。あるいは、娘の結婚式という大きな節目に合わせて無意識に選んだ靴。

 

「あの時はこんなことに悩んでいたな」「これを買った時は何歳だったな」と、当時の自分の姿が見えるような、人生の背景がくっついてきた靴。そういう何かしらの「理由」や「言い訳」をつけて買った靴だけが、結局手元に残るんです。

 

あなたにとって、人生の背景を語れる靴はどれでしょうか。もしそれが、これから出会うエドワードグリーンのドーバーであるならば、これほど嬉しいことはありません。

 

ラスト:32
ソール:ダブルレザー
アッパー:グレインレザー
名前:杉本
所属:トレーディングポスト銀座店